デスクトップフローの容量について考えてみた

デスクトップフローの容量について考えてみた Power Automate
デスクトップフローの容量について考えてみた
この記事は、Microsoft Power Automate Advent Calendar 2022 カレンダー2 8日目(2022/12/8 担当分)の記事です。

Microsoft Power Automate Advent Calendar 2022 カレンダー1 6日目でまっぴぃさん
Power Automate for desktop が Dataverse 容量を勝手に消費する話 (zenn.dev)
という記事を書いてくださいました。

Windowsライセンス範囲でのPower Automate for desktopの利用が可能になった際に、以下の記事を書かせていただいております。
組織アカウントを利用した場合のPower Automate for desktopで作成したデスクトップフローの落とし穴 | たなの覚え書き (tana-techlog.net)

※ こちらで紹介しているデスクトップフローの数の取得方法より、もう少しスマートな取得方法もありますが、その辺については機会があれば記載したいと思います。

その後もデスクトップフローの容量については、いろいろ調べてきました。ポエムをしたためたいと思います。

Windowsライセンスに含まれるPower Automate for desktopとは

まず大前提として、Windowsライセンスに含まれるPower Automate for desktopは追加費用なしで利用できますが、ノンサポートとなります。そのため、業務での利用には適していません。

サポート範囲については「Japan Dynamics CRM & Power Platform Support Blog」の以下の記事を参照ください。
Power Automate for desktop のサポート範囲について | Japan Dynamics CRM & Power Platform Support Blog (jpdynamicscrm.github.io)

Power Automate for desktop のサポート範囲について | Japan Dynamics CRM & Power Platform Support Blog (jpdynamicscrm.github.io)

ライセンスガイドも確認してみましょう。サポートブログと同様のことが書いてあります。
(ライセンスガイドの内容をわかりやすく書いてくださっているのがサポートブログなのかなと思います。)

ライセンスガイド(日本語):https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=2085130&clcid=0x411
※1

Windowsライセンス範囲ですと、Microsoft アカウントと呼ばれる個人アカウントで利用することも可能です。この場合、保存されるのはOneDriveです。(注意:OneDrive for Businessではありません)
OneDriveは個人のストレージですよね。
つまり、Microsoft アカウントでの利用は、個人の利用に特化しています。

Microsoft アカウントと有償ライセンスではない組織アカウントでできることは同じです。
詳細は以下をご覧ください。
前提条件と制限 – Power Automate | Microsoft Learn

有償ライセンスではない組織アカウントですと、デスクトップフローを共有することもできませんし、クラウドフローとの連携なども利用することができません。
保存先が既定の環境のDataverseということである点に違いあるだけで、SLAもサポートもありません。

デスクトップフローの保存先

Dataverseは、アプリを作成するためのデータソースとして、テーブルなどを作成して利用するという側面をもつ一方で、Power Platformが動作するために、必要なシステム領域としても機能しています。

システム領域として機能する代表的なものとして、デスクトップフローの保存領域として使用されたりしてます。

デスクトップフローの保存先は、以下のドキュメントに記載されているテーブルになります。
Process (Workflow) テーブル/エンティティの参照 (Microsoft Dataverse) – Power Apps | Microsoft Learn

Process (Workflow) テーブルに、保存されるレコードに以下のCategoryが記載されます。
6の値で保存されているレコードは、デスクトップフローです。
他にも、4の値でビジネスプロセスフローが保存されることが分かります。

Process (Workflow) テーブル/エンティティの参照 (Microsoft Dataverse) – Power Apps | Microsoft Learn
※2

Process (Workflow) テーブル=WorkflowBaseの使用量がデスクトップフローすべてということではないことに注意が必要です。

テーブルの使用量は、Power Platform 管理センターから取得可能です。
[リソース]-[容量]をクリックし、表示される画面で[Dataverse]タブを表示すると、環境の一覧が表示されます。
既定の環境の[詳細]というグラフのようなアイコンをクリックすると以下のような画面が表示されます。
データベース使用量のグラフのメニューを表示すると「すべてのテーブルのダウンロード」というメニューがありますので、クリックすると、データベース容量の全テーブルの使用量が記載されたCSVファイルがダウンロードできます。
CSV内の「WorkflowBase」を見ていただくと使用量が分かります。

実は、デスクトップフローに関連する情報はWorkflowBaseだけではありません。
flowsesionというテーブルにも保存されるものがあります。flowsessionはデータベース領域とファイル領域の2か所に保存されます。flowsessionについてはまたの機会にまとめようと思います。
flowsession テーブル/エンティティの参照 (Microsoft Dataverse) – Power Apps | Microsoft Learn

既定の環境に保存されているデスクトップフローの数とWorkflowBaseの使用量の推移を定期的に観察していくと、デスクトップフローが作成され活用されていくと、それに応じて、Dataverseの使用量が増えていくことを観察できると思います。

Dataverseへ保存されるということ

Dataverseの容量というものは、無料ではありません。容量を増やすには、ライセンスを購入する必要があります。容量だけを追加できるライセンスも存在しますので、Power Platform 管理者は、Dataverseの使用量を監視し、必要に応じて、容量を増やすためのライセンス購入が必要になります。

Windowsライセンス範囲でのデスクトップフローが既定の環境のDataverseを消費することに対して、頭を悩ませているPower Platform管理者の方は多いと思います。
(私もそのひとりです。大いに悩んでいます)

デスクトップフローの業務利用を考えた時には、最低でも「Power Automate per user plan with attended RPA」を購入することが必要だと考えます。
Dataverse容量としてデータベース250MBが利用でき、かつ、Microsoftのサポート対象となります。

ライセンスガイド(日本語):https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=2085130&clcid=0x411
※1

とはいってもやはり有償ライセンスを購入することが難しい場合もあるかと思います。

Power Platform管理者は以下のことを利用者に意識づけすることも必要かなと思います。
また、同時に利用者も以下のことを意識する必要があるでしょう。
管理者と利用者はお互い協力しあっていくものだと私は考えています。

・ Windowsライセンス範囲での利用については、未サポートであること
・ 追加費用なしとはあるが、保存先のDataverseの容量には費用がかかること
・ 不要なデスクトップフローは削除すること
(一定期間、非アクティブなデスクトップフローは自動削除するような運用を実施するなども考慮)
・クラウドフローで実現できることは、無理にデスクトップフローで行わないこと
・デスクトップフローに不要なUI要素を削除するなど無駄な処理がないように配慮を行うこと

※ どのようなデスクトップフローを作成するとどのくらい容量を消費するかは、検証中なのでいずれまとめたいと思います。

とりとめのない まとめ

みなさんが行われている業務は、特定の人物が不在の場合でも継続的に行えるような体制を組んで実施されているかと思います。
デスクトップフローを利用した業務を行う場合、そのデスクトップフローを作成した方が不在な際にはその業務はどのように行うのか。同じデスクトップフローを作成するよりは、共有して同じものを利用したほうがよいのではないでしょうか?
Windowsライセンス範囲ではこのようなことはできません。

あくまで理想論となりますが、Windowsライセンス範囲でのデスクトップフローの利用は、効率化が見込めるかの検証としての利用とし、業務において利用が効果的であり、費用対効果があると判断できれば、有償ライセンスを購入することを検討するような流れが作れるといいなと思います。

そうすることで、Power Platform管理者は、既定の環境のDataverseの容量の問題から解放され、利用者はサポートを受けることが可能となり、Win-Winではないかと思いました。

ふらりさんが書いてくださった以下の記事を見て、デスクトップフローも同じような考え方かなとふと思ったのでした。そんな風になれたらいいなーという願望でした。
【Power Platform】ライセンスについて考えてみた話 – ふらりのメモ書き (hatenablog.com)

注意事項

※1:参照しているライセンスガイドは2022年11月版の内容となります。
ライセンスがガイドは定期的に更新されるため、参照する際はダウンロードして最新版を確認することをお勧めします。また、英語版の方が早く更新されるため、タイミングによっては日本語版の情報が古い場合がある点にご注意ください。

Microsoft Power Platform ライセンスガイド(英語):https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=2085130
Microsoft Power Platform ライセンスガイド(日本語):https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=2085130&clcid=0x411

※2:参照しているドキュメントのキャプチャは「2022/12/02」に更新された内容となります。

コメント

  1. ごむ より:

    ブログ拝読しています。ありがとうございます。
    素人で申し訳ありませんが一つ質問をさせてください。
    「クラウドフローで実現できることは、無理にデスクトップフローで行わないこと」
    とのご提案がありましたが、クラウドフローはどこに保存されているのでしょうか。
    公式ドキュメントそれなりに調べたのですが明記していないように思うのです。