Just-in-Time (JIT) Developer Environmentsの使いどころを考える(後編)

Just-in-Time (JIT) Developer Environmentsの使いどころを考える(後編) Power Apps
Just-in-Time (JIT) Developer Environmentsの使いどころを考える(後編)
この記事は、Power Apps Advent Calendar 2023 12月14日担当分の記事です。
※ よかったよ、役に立ったよという方は、前編のQiitaの記事の方にいいね!をよろしくお願いします。

Just-in-Time (JIT) Developer Environmentsの使いどころを考える(前編) からの続きとなります。前編から続けて読んでいただけると嬉しいです。
(諸事情でだいぶ遅くなりまして申し訳ございません<m(__)m>)

既定の環境ルーティングとの違い

「既定の環境ルーティング」と「JIT Developer Enviroment」ともに個人用の「開発者環境」を提供する機能です。
どちらも、はじめは「開発者環境」で試してみましょうというのがどちらにも共通している部分です。

「既定の環境ルーティング」は、マネージド環境の機能であるため、作成される「開発者環境」はマネージド環境となります。
マネージド環境の前提条件では、環境にアクセスするユーザーには、スタンドアロンライセンスが必要になります。
すなわち、「開発者環境」でもスタンドアロンライセンスが必要ということになります。

※ 「既定の環境ルーティング」を利用する際に各ユーザーにあらかじめスタンドアロンライセンスを付与しておく必要があるかは、Micorosoftさん、あるいは、代理店の担当者の方に必ずご確認いただきますようお願いいたします。

Power Apps 開発者プランについて – 開発環境をマネージド環境にすることはできますか? – Power Platform | Microsoft Learn

Power Apps 開発者プランについて – マネージド環境の利用権は開発者計画に含まれていますか? – Power Platform | Microsoft Learn


「既定の環境ルーティング」は、初めてPower Appsを触るユーザーには、テナント内のすべてのユーザーがアクセスできる「既定の環境」ではなく、「開発者環境」を利用させたいという「管理者側」の理由が主となると考えられます。

一方、「JIT Developer Enviroment」は、マネージド環境である必要がありません。
利用者がDataverseを使用したアプリの作成を行いたい場合に、スタンドアロンライセンス有無に関わらず、利用したいという「利用者側」の理由と「管理者側」のスタンドアロンライセンス購入有無や社内の煩わしい申請や運用プロセスを工数をかけずに利用者に試させたいという「管理者側」の双方の理由が合致している場合が主と考えられます。

JIT Developer Enviroment を利用させるための設定

テナント設定の「開発者環境の割り当て」が「すべてのユーザー」に設定している必要があります。
これだけです。

作成される「開発者環境」

既定の環境ルーティングで作成される「開発者環境」の名前は<ユーザー名>です。
一方、「JIT Developer Enviroment」で作成される「開発者環境」の名前は<ユーザー名 の環境>です。
同じ「開発者環境」の自動作成であるのに環境名に違いがあるのは、「JIT Developer Enviroment」の方は、「Power Apps開発者プラン」を利用していることが関係しそうです。
Power Apps 開発者プランについて – Power Platform | Microsoft Learn

利用する際に気になる点

「JIT Developer Enviroment」の利用にあたって気になる点は、「既定の環境ルーティング」と同様にDLPポリシーの設定をどうするかがあります。この点は、「開発者環境」を積極的に利用させる場合には気にしたいところです。

既定の環境ルーティングの使いどころを考える(前編) #PowerApps – Qiita
既定の環境ルーティングの使いどころを考える(後編) | たなの覚え書き (tana-techlog.net)

「既定の環境ルーティング」とは異なる点としては、共有制限です。
「開発者環境」は「所有者による使用のみを目的とした特殊な環境」となっています。
そうであれば、テナント内のほかのユーザーに共有させることは制御する必要があります。
制御できないとなると、どのように管理していくかを検討する必要がでてきます。

その点では、「既定の環境ルーティング」で作成された「開発者環境」は、共有制限の機能がありますから、共有をさせないように設定することでガバナンスを保つことが可能になります。
また、これは私の勝手な推測になりますが、スタンドアロンライセンスが必要なこと、環境名がPower Apps開発者プランで作成される環境名と異なることを考えると、あくまで「開発者環境」とは名付けているが、利用用途としては、OneDrive for Businessと同様で必要に応じて共有は可能とも受け取れます。

※ 以下のドキュメントは2023/12/28現在の記載であり、あくまでPower Apps開発者プランを指した記載であることから、「環境ルーティング」で作成される「開発者環境」やPower Platform管理者が手動で作成する「開発者環境」とイコールとみなしてよいのかは不明となります。ドキュメントが追い付いていない可能性もあります。ご注意ください。

環境の概要 – Power Platform | Microsoft Learn

さいごに

これまで、Dataverseを利用したいが、スタンドアロンライセンスが購入できないなどの理由で、Micorosoft 365 開発者プログラムなどで個人でテナントを取得して、Power Apps開発者プランでお試しという状況下で学習をされていたことは大勢いらっしゃると思います。

しかし、「JIT Developer Enviroment」の機能ができたことで、社内でも気軽にPower Apps開発者プランを利用できるようになったと考えることができるようになったと言えるのではないでしょうか。

ただし、「JIT Developer Enviroment」で作成された「開発者環境」は「追加のライセンス要件なしで入手」「テナントの容量に対して容量を消費せず」という点を考えても、あくまでお試しであるという点を強調して利用する必要があると考えます。

利用に際しては、ガバナンスをどうするかはしっかり検討したうえで利用してください。

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